
海の中でゆっくりと時を重ねるSUBRINAの海底熟成ワイン。そのボトルを包む包装紙に、新しく特別なアート作品が採用されました。作品を手がけたのは、海をモチーフにした作品を数多く制作しているアーティスト・尾潟 糧天さん。
今回のアートは、SUBRINAの海底セラーがある南伊豆・中木の海を実際に訪れ、その景色や空気を体感したうえで制作されたもの。なぜこの海を描こうと思ったのか。そして、ワインを包むアートにはどのような想いが込められているのか。制作の背景について伺いました。

1994年、北海道下川町生まれ。自然豊かな土地で育った原体験をもとに、海や植物をモチーフとした作品を制作。波や水の動きを写実的かつ構造的に捉えた立体作品で注目を集める。現在は東京を拠点に国内外で展示を行い、2024年にはドバイで開催されたアートフェア「World Art Dubai」に出展。同フェアではHotel Indigoアワードを受賞し、国際的にも高い評価を受けている。
公式サイト:https://ryoten.jp/
Instaglam:Ryoten Ogata

現代画家・尾潟 糧天さんが描く、波のかたちと自然へのまなざし
Our Beach Life:波のリズムに心を寄せる、アートと海のライフストーリー そっと耳をすませば、波の音が聞こえてきそう。そんな静かな力強さを感じる作品を生み出しているのが、画家の尾潟 糧天(おがた りょうてん)さん。 彼が波を描くとき、それはまるで呼吸を整えるような、瞑想のような行為に見える。自然と向き合いながら紡がれるアートと、海とお酒にまつわる記憶。そこに宿る想いを、お伺いしました
海底熟成ワインの舞台、南伊豆・中木の海へ
今回の包装紙アートは、SUBRINAの海底熟成ワインが眠る南伊豆・中木の海がモチーフになっています。制作にあたり、尾潟さんは実際に現地を訪れ、その景色を自らの目で見て回りました。

尾潟:伊豆の海を訪れるのは今回が二度目でした。高く切り立った岩壁が多く、広大な太平洋を見下ろせるとても魅力的な場所です。海の色も深く澄んでいて、力強い生命感と大地の重厚さが感じられました。
実際に海底熟成が行われている南伊豆の海は、一般的なリゾート地の穏やかな海とは少し違います。冬になると強い西風が吹きつけ、海は荒々しい表情を見せる。SUBRINAのワインが過ごしているのも、そんな力強い海の中です。
尾潟:冬の伊豆は西風がとても強く、地形も相まって自分の作品にとっては理想的な波が立ちます。岬の周辺には陸から孤立した離れ岩が多く見られ、それらによって水流が複雑に行き交う様子が印象的でした。
さらに今回は、海を上空から捉えるためドローン撮影も実施。しかし理想的な波を撮影することは簡単ではありません。
尾潟:理想とする波の発生条件として風の強さが必須である一方で、強過ぎるとドローンの操縦が難しくなります。撮影可能な場所や天候状況など様々な要素を考慮しながら波を探すのにはいつも骨を折ります。
そんな海を知り尽くそうとするその地道な観察が、今回の作品づくりの出発点となりました。

波のエネルギーをアートに変える
尾潟さんにとって作品づくりは、海を描くことではなく、海を観察することから始まります。その日の風や潮の流れ、場所の座標まで記録する。そうして集めた海のデータをもとに、自然が生み出した造形を一つひとつ見つめていきます。
今回の作品でも、伊豆の海のありのままの姿が重要なインスピレーションになりました。複雑に交差する潮の流れ。離れた岩によって生まれる渦。風が海面に刻む無数の模様。
そうした自然の造形を観察しながら、「ワインを育てる海」をどのように表現するかを考えたといいます。

尾潟:ワインを育てる“ゆりかご”としての海を描くにあたって、波のどのような表情を切り取るかについてよく考えました。海の力強い生命感と、心が洗われるような透明感を表現するために、静と動のバランスにこだわりました。
また今回は、通常の絵画作品とは異なる「包装紙」という媒体ならではの工夫もありました。
尾潟:作品の撮影を慎重に行いました。通常、絵画を撮影する際は光が反射しないようにしますが、半立体の作品なので、凹凸や細かい質感が伝わるように、あえて反射も計算して入れています。紙に印刷しても作品の存在感が損なわれないよう意識しました。
包装紙になったあとも、作品の奥行きや海の記憶を感じてもらいたい。そのこだわりは、細部にまで宿っています。


包装紙に込められた想い
今回のアート制作において、尾潟さんが最も大切にしたのはSUBRINAならではの海底熟成という物語でした。
尾潟:海底熟成というプロセスがやはりSUBRINAを語る上で欠かせない点だと思います。実際に熟成ポイントに行って現地で撮影した海を作品化することで、ワインのストーリーに寄り添った作品にすることを大切にしました。
ワインが過ごした海を描き、その作品が再びワインを包む。その循環に特別な意味を感じているといいます。
尾潟:ワインが長い時間を過ごした海を絵画化し、それが包装紙になってまたワインを包むという流れがとても自然で、SUBRINAのストーリーと作品、製品が滑らかにつながっていると感じます。このような企画に関わらせていただけてとても嬉しいです。

また、SUBRINAチームが尾潟さんの作品と初めて出会ったのは、横浜の海沿いの倉庫でした。作品を見た瞬間、そこに描かれていた海が南伊豆・中木の冬の海と重なったといいます。
SUBRINA:一般的にイメージされる穏やかで美しい海ではなく、荒々しさや躍動感があり、まるで海そのものが生きているような力強さがありました。その世界観が、私たちが実際にいつも見ている南伊豆の海と重なりました。
SUBRINAの海底熟成は、穏やかな環境の中で行われているわけではありません。ダイバーが海へ出られないほど荒れる冬の海の中で、ワインは長い時間を過ごしています。その海の力強さを表現できる作家として、尾潟さん以外は考えられなかったといいます。

ワインを開ける時間を、もっと豊かに
SUBRINAが届けたいのは、単なる一本の赤ワインではありません。南アフリカの畑から始まり、南伊豆の海底で熟成され、人の手によって開封されるまでの長い物語。
その中で、今回の包装紙アートも大切な役割を担っています。尾潟さんは最後に、この作品を手に取る人へのメッセージをこう語ってくれました。
尾潟:開封して包装を外し、ボトルに染み込んだ海の香りを感じて、グラスに注いで飲むまでの工程をより豊かにする存在として、この作品がSUBRINAを手に取った方々に届いたら嬉しいです。

そしてSUBRINAチームもまた、同じ想いを抱いています。
SUBRINA:私たちは、ワインそのものだけではなく、その一本を開ける時間も楽しんでいただきたいと思っています。誰かと過ごすひとときや、その時に交わした会話が、あとから「あの時飲んだワインだったな」と思い出せるような記憶になってくれたら嬉しいです。
グラスを傾けながら、ぜひ包装紙も広げてみてください。
糧天さんが描いた波の表情から、南伊豆の海の景色や空気、そしてSUBRINAが海の中で過ごした時間に思いを巡らせてもらえたら幸いです。
2026年5月30日-31日 目黒開催のお披露目イベント風景
左:SUBRINA 代表 青樹英輔 / 右:尾潟 糧天氏