Our Beach Life
恩納村から海の声を聞く、サンゴと歩むライフストーリー
沖縄の美しい海を守り続ける山城正已さん。サンゴや海への深い愛情と、未来への強い想いを胸に日々活動を続けています。さらに、海とお酒を結びつけた「海底熟成」というユニークな試みで、人々の心に感動を届けているのも山城さんの魅力のひとつ。
今回は、山城さんの活動や海への想い、そして泡盛に込めたストーリーをお届けします。

潜るだけで癒される。ダイビングがくれるひととき
「僕にとってダイビングはね、日常の忙しさやストレスから離れる時間なんですよ。海に潜って、自然の中で自由を感じて。無事に陸に戻ったら、その日の海を振り返りながら、程よい疲れとともに眠りにつく。この瞬間がたまらないんです。
海と向き合う中でこそ得られる癒しの力。そんな経験を多くの人に届けたいという想いが、いまもダイバーの活動を続ける大きな原動力になっています。」

恩納村がくれる、都会とは違う特別な時間
「恩納村はね、“日本のハワイ”って呼ばれるくらい、リゾート感がすごいんです。でもただリゾートってだけじゃなくて、自然が近いんですよ。都会の喧騒から離れて、ゆっくり自然を感じられる場所ですね。
あと、この村はコンパクトだから、海も陸も全部がシームレスにつながって、スムーズに楽しめちゃう。それも恩納村ならではの魅力だと思います。」
恩納村の風景
サンゴ礁が教えてくれた、危機と希望
「ダイバーとして日々、恩納村の海に潜る中で、サンゴ礁の白化現象が頻繁に起きるようになったのを見て、これはやばいなって思ったんです。昔は白化現象なんて12年に一度くらいだったのに、今じゃ5~6年に一度は起きてる。
サンゴ礁は海のわずか1%の面積しかないけど、実は海洋生物の25%が住む、とっても重要な場所。そこが失われるってことは、海全体の生態系が壊れるってことなんです。北海道でブリが獲れて、シャケが減ってるのも、その一例かもしれない。
でもね、絶望してばっかりじゃいけない。小さなことでも、みんなで行動すれば変えられる。そんな思いで、サンゴの保全活動を始めたんですよ。」

サンゴを守るためにできること
「“目の前の海は自分たちで守ろう”っていう考えで、漁業組合と一緒にサンゴ養殖を進めてきました。2018年に恩納村では『サンゴの村宣言』をして、村全体で取り組むことにしたんです。その結果、1998年に壊滅的だったサンゴ礁が、18年かけて75%まで回復しました。

恩納村サイトより 中央右 山城正己恩納村漁協組合長(当時)
その成功例があるからこそ、活動の輪は沖縄全体や奄美大島、そして海外にも広がっていきました。今では大学とも協力し、サンゴのDNAを解析して効率的な養殖方法を研究。恩納村では約4万本のサンゴが育てられ、徐々にその成果も現れています。
サンゴが回復するのには、最低でも18年はかかるんです。だから、気づいてからやるんでは遅いんです。ちょっとした違和感も見逃さず、積極的に関わっていくことが大切。その先の美しい海の未来を思い描きながらコツコツやるしかない。それが海を守るってことだと思うんです。」

持続可能なサンゴ礁を築くために
「サンゴが一度回復しても、それをずっと続けていかなきゃ意味がないんですよね。だからこそ、ボランティアだけに頼るんじゃなくて、地域が主体になって動ける仕組みを作ることが大事なんです。
サンゴ保全活動が一時的なものではなく、地域の人々が関わり続けられる体制づくりを目指しています。そのために導入したのが、企業版ふるさと納税『地方創生応援税制』や支援者からの寄付を活用する仕組み。漁業者が活動に参加しながら日当を得られるようにしました。
これって、すごく重要なことなんです。海を守るためには漁業者の力が欠かせません。でも、彼らだって生活があるから、無償では続けられない。だからこそ、きちんと報酬を得ながら活動できる体制を作るのが必要だったんです。
このモデルケースが持続可能なサンゴ礁に繋がると思うので、沖縄だけではなく、国内外に広めています。」

海とお酒をつなぐ、海中熟成の挑戦
「海がある場所で生まれ育ったから、海にまつわることが昔から好きだったんです。昔読んだ小説でね、メキシコでラム酒が難破船と一緒に沈んで、味がまろやかになったって話があったんですよ。それがずっと頭に残ってて、自分でも試してみたくなったんです。
最初は赤ワインを一年間海に沈めてみました。そのワインを飲んだ人から『普通のワインより美味しい!』と言われたことがきっかけで、本格的に海中熟成に取り組むようになったんです。
SUBRINAの代表の青樹くんにも渡したところ、すごく感銘を受けてくれて。この魅力がバトンのように広がっていくのは嬉しいですね。」


沖縄らしい泡盛を海底熟成に
「現在は恩納村の清らかな海底で熟成された、特別な泡盛『珊瑚の海』を手がけています。恩納村唯一の酒造所が作るこの泡盛が、海底で熟成することで角が取れて、まろやかな味わいに仕上がっています。
この泡盛は、恩納村を訪れるきっかけになることを目指していて、地域の魅力を伝える特別なお土産として販売されています。沖縄旅行の思い出として、多くの人々に親しまれる存在になってくれたら嬉しいです。」

海底熟成泡盛 『珊瑚の海』 おんなの駅なかゆくい市場でのみ購入できる
お酒が生む人との繋がり
「ダイビング後のひとときって、なんとも言えない特別な時間ですよね。日差しが少し傾いて、海風が心地よく頬を撫でる中で、沈めておいたお酒を引き上げて仲間たちと乾杯する瞬間は最高です。ボトルに染み付いたほんのり塩っぽい香りもまた、海の記憶を思い起こさせてくれるんです。

こうしてグラスを傾けながら、その日のダイビングの話や見つけた魚、海の中での出来事を語り合っていると、どんどん会話が弾んでいく。『あのときのウミガメ、すごかったよね』とか、『次はあそこに潜ってみよう』なんて次々と話が広がっていく感じが、本当に楽しいんです。
お酒があることで、自然と気分がほぐれて、より深い話や思い出も引き出される気がします。海の話題って不思議と尽きないし、そこにお酒が加わることで、さらに心に残る時間が生まれると思います。」
