目次
海底熟成プロジェクト:歴史と広がり
海底熟成ワインのパイオニアとして、日本初の取り組みをスタートさせたSUBRINA。2011年の開始以来、数々のメディアで取り上げられ、2022年にはAmazonのTVCMで全国的に認知を広げました。この取り組みを皮切りに、海底熟成の魅力に注目が集まり、さまざまなプロジェクトが展開されています。
このページでは、国内外の海底熟成ワインや酒のプロジェクトを一挙にご紹介します。それぞれの取り組みが持つ独自の特徴を伝えながら、海底熟成というテーマの魅力を深掘りしていきます。そして海底熟成という取り組みはいつから始まったのでしょう。
掲載情報は主にインターネットをもとにしています。そのため、正確性に欠ける場合があるかもしれませんが、修正や追加情報がございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。皆さまと共に、海底熟成の魅力を広げていけることを楽しみにしています。
海底で熟成されたワインSUBRINA(サブリナ)
SUBRINAが誕生するきっかけは、現在沖縄で海底熟成泡盛「珊瑚の海」を手がける山城氏から提供された、沖縄の海底で1年間熟成された赤ワインとの感動的な出会いでした。
その豊かな味わいに感銘を受け、事業化を決意。熟成場所には、手つかずの大自然が残る南伊豆を選びました。数十種類のワインを世界中から集めて熟成を試みた結果、最も優れた熟成を遂げたのは南アフリカのシラー。現在に至るまで、その品質を超えるものがなく、この1品種にこだわり続けています。
累計販売数は2万本を突破(2023年時)。さらに、世界的に権威ある品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2024」において、海底熟成酒としては世界初で唯一(※2024年時)のシルバーメダルを受賞しました。
SUBRINAが受託している海底熟成の取り組み
TAKANOME 海底熟成(日本酒)
2019年に誕生した高級日本酒ブランド。誰もが飲んで直感的に「うまい!」と思える感覚のみを追求。
現在も発売開始から5分で完売するほどの人気を誇ります。海底熟成は2020年より参加。沈めた場所によって波の振動が異なるため、同じタンク・場所に沈めたにも関わらず、様々に変化を遂げ、5つの味わいが誕生。2024年には第二弾となるTAKANOME 海底熟成 禄 2024 Editionをリリース。
TAKANOME 公式サイトより
海中熟成酒プロジェクト
日本酒古酒のスペシャリスト上野伸弘氏が主宰 上野伸弘氏:日本酒の新たな可能性を探求し、価値を高めることを使命とする熟成日本酒の第一人者。
トゥールダルジャンを経て熟成酒専門の「酒茶論」を創設。現在「刻SAKE協会」の常任理事として活動し、古酒専門バー「熟と燗」のオーナーを務める。2013年より上野氏の呼びかけに賛同した酒蔵や販売店等が海中熟成酒プロジェクトに参加。海中熟成酒プロジェクトは、伝統と革新を融合させることで、日本酒文化の新たなステージを切り拓いています。
酒茶論にて行われた蔵内熟成酒と海中熟成酒を飲み比べてみたアンケートでは、海中熟成酒の感想として、「甘くやわらかい味わい。香りも引き立ちわかり易い比較でした」「余韻がとっても強く感じられます」「どちらも美味しかったですが、海中は思ってたより違いがあって驚きました」「圧倒的に違います」「海の方が好みです。マイルドですね」「海は味に伸びがある」など味わいの違いを皆さん感じられたようです。
また、BARの方々にも参加頂き、蒸留酒の海底熟成も多く行っておりますが、アルコールが高いものの方も刺激が弱まり香りも強くなるなどおいしい変化を遂げていました。
これまでに参加された方々
酒蔵
岩手県 南部美人 南部美人
秋田県 天寿 天寿酒造
山形県 浅黄水仙 朝日川酒造
福島県 笹の川 笹の川酒造
新潟県 鶴齢 青木酒造
新潟県 菊水 菊水酒造
新潟県 北雪 北雪酒造
新潟県 誉麒麟 下越酒造
新潟県 金升 金升酒造
千葉県 岩の井 岩瀬酒造
千葉県 木戸泉 木戸泉酒造
千葉県 叶 東薫酒造
神奈川県 赤とんぼ 泉橋酒造
静岡県 富士錦 富士錦酒造
山梨県 笹一 笹一酒造
岐阜県 達磨正宗 白木恒助商店
滋賀県 七本槍 冨田酒造
奈良県 長龍 長龍酒造
広島県 華鳩 榎酒造
山口県 五橋 酒井酒造
熊本県 千代の園 千代の園酒造
酒販店
東京都 Oh Splash 海琳堂
BAR
北海道 BAR一慶
東京都 シェリーミュージアム
東京都 バル・デ・オジャリア
静岡県 BAR NO’AGE
大阪府 バル・キンタ
BAR TIMES
バーテンダーとバーファンのためのWebマガジン「BAR TIMES」との共同企画として、お客様からお預かりした酒類を海底で約180日間眠らせる『海底貯蔵サービス』を2022年より実施しています。
BAR TIMES Selectサイトより
g KEYAKIZAKA 海底熟成代行サービス
東京・六本木ヒルズのけやき坂 並木道に面したギフト&ライフスタイルショップ「g KEYAKIZAKA」とのコラボサービス。大切な逸品を海底に沈め、自然の力で特別な一品に仕上げます。
馬肉の一九の海底熟成サービス
お酒と馬肉料理のマリアージュを追求する茨城初の馬肉料理専門店「馬肉の一九」によるコラボサービス。あなたのお酒を、南伊豆の海底で7ヶ月熟成します。世界に一つだけの海底熟成酒をお愉しみください。
Tourbillon(ウイスキー)
代表の柳谷智宣氏は、熟練のITライターでありながら、熱烈なウイスキーマニアとしても知られています。その情熱が高じ、ウイスキーや他のアルコールを原価で楽しめる「原価BAR」をオープン。独自の視点でウイスキー文化を広める活動を続けています。
海底熟成の初期からプロジェクトに参加し、ハードリカー分野において最も経験豊富な専門家の一人です。彼が手掛けるスコッチウイスキーは、海底熟成という特殊な環境で熟成が進むことにより、一般的な熟成にはない深みと滑らかさを兼ね備えた味わい。 その情熱と専門知識は、ウイスキー愛好家だけでなく、新たな熟成手法に興味を持つ幅広い層から注目を集めており、海底熟成スコッチの分野での第一人者として評価されています。
SAMMARINESE(ワイン)
世界で最も古い共和国サンマリノ。サンマリノ産ワインの国内販売を一手に担うオッジフルッタ。2019年より参加。海底ワインの方が明らかに色が濃厚になり、海の力の神秘が感じられます。味わいは、酸味がよりまろやかに感じられ、余韻も長めになるとのこと。
ルミエール 海底熟成スパークリング 甲州(ワイン)
山梨県の老舗ワイナリー、ルミエールが手掛けるスパークリングワインです。地元南野呂地区で栽培された甲州種のブドウを使用し、6ヶ月間海底で熟成させています。これにより、和柑橘を思わせる清々しい香りと、キメ細やかな泡立ちが特徴の辛口スパークリングワインに仕上がっています。
海底貯蔵庫(受託)
株式会社コモンセンス及び中木マリンセンターの子会社である株式会社海底貯蔵庫が主導するこのプロジェクトは、海底での熟成に特化した専用の貯蔵庫を活用し、日本酒やワイン、焼酎など多様な酒類を熟成させる取り組みです。一般顧客より受託熟成を行っており、海底熟成による新たな価値創造を推進しています。
珊瑚の海(泡盛)
SUBRINAの原点は、恩納村での山城正已氏による活動に遡ります。山城氏は元恩納村漁協組合長であり、またSUBRINA代表・青樹のダイビングの師匠でもあります。山城氏は様々な酒を海底で熟成させ、その独特の味わいを友人への贈り物として提供していました。
現在では地元の泡盛を海底熟成させ、海底熟成泡盛「珊瑚の海」として地元に根ざした特別な商品として販売されています。SUBRINAの挑戦は、この山城氏の革新的な取り組みにインスパイアされ、海底熟成という新たな可能性を追求することで始まったのです。
おんなの駅 なかゆくい市場サイトより
その他国内での海中・海底熟成
北海道
北海道海洋熟成(ウイスキー、ワイン、日本酒、調味料)
2014年に南伊豆での海中熟成酒プロジェクトに参加した後、北海道で独自の海底熟成プロジェクトを展開。道内7つの海域(厚岸、羅臼、能取湖、湧別、知内、木古内、余市)に海底熟成庫を設置し、それぞれの海域特有の環境を活かした「シーテロワール」の追求に挑戦しています。取り扱う熟成品は多岐にわたり、ウイスキーやワイン、日本酒に加え、調味料などの熟成にも取り組んでいます。
青森県
海底熟成下北ワイン
青森県むつ市に位置するサンマモルワイナリー。2023年12月、同市川内町沖約1.2キロの海底21メートルに赤ワインを沈め、約7か月間熟成させました。この海底熟成により、渋みが柔らかくなり、酸味が落ち着き、果実味豊かな赤ワインに仕上がることが期待されています。熟成されたワインは「下北ワインPoseidon」と名付けられ、2025年春に下北ワインオーナー制度の会員に配布されるほか、公式ウェブサイトで限定販売される予定です。
岩手県
宮古市「青の洞窟」海底熟成ワインプロジェクト
岩手県宮古市の浄土ヶ浜にある「青の洞窟」の海底で、山ぶどうワインを5年間熟成させるプロジェクト。2021年5月10日、2017年産と2018年産のワインが、専用のステンレス製ケースに入れられ、浄土ヶ浜の「青の洞窟」周辺の海底に沈められました。5年後には、海底熟成ワインと通常熟成ワインの飲み比べイベントも計画されています。
広田湾海中熟成プロジェクト(ワイン)
岩手県陸前高田市の広田湾で、地元産ワインや日本酒を約10ヶ月間熟成するプロジェクト。水深約20メートルの安定した水温と波の振動を利用し、酒の酸味が和らぎ、まろやかで深みのある味わいを引き出します。地元のワインや日本酒を熟成するほか、持ち込みボトルの熟成サービスも提供。熟成体験プログラムでは漁場見学や入水体験も楽しめる、地域と連携した新たな挑戦として注目されています。
宮城県
株式会社海底熟成研究所の海底熟成ワインプロジェクト
宮城県牡鹿郡女川町の海底20メートルで、約7ヶ月間ワインを熟成させるプロジェクトです。まろやかな味わいのワインを生み出しています。主力商品「ヴィンクロエテルノ」は、ポルトガル産の赤ワインを使用し、海底熟成によって独特の風味を実現しています。
南三陸ワイナリーの海中熟成ワインプロジェクト
宮城県南三陸町の志津川湾で、地元の牡蠣漁師と協力し、ワインを海中で熟成させる取り組みです。海中の穏やかな揺らぎや温度変化により、ワインの熟成が促進され、まろやかな味わいが生まれます。特に、牡蠣棚に吊るして熟成させたオレンジワインは、海中での熟成により独特の風味を持ち、ワインと牡蠣のマリアージュを楽しむことができます
栃木県
西堀酒造株式会社の海底熟成酒プロジェクト(日本酒)
栃木県小山市にある西堀酒造は、2019年12月に初めて海底熟成酒の取り組みを開始しました。静岡県西伊豆の海底約15メートルに、ダイバーの手で紫外線の届かない環境でお酒を沈め、半年間熟成させています。この方法により、通常の環境では実現できない熟成速度で酒質が変化し、まろやかで深みのある味わいが生まれます。初年度には3種類の海底熟成酒をリリースし、数量限定での販売を行いました。
埼玉県
氷見・大宮海中熟成絆酒プロジェクト(日本酒・ワイン)
富山県氷見市と埼玉県さいたま市大宮地区の経済団体が連携し、氷見沖の海中で日本酒やワインを熟成させる取り組みです。2023年12月、両地域の地酒やワイン計632本を氷見沖の水深15メートルと35メートルの海底に沈め、3ヶ月から1年間熟成させました。海中の安定した温度と波の揺れにより、酒の味わいがまろやかになると期待されています。2024年2月には、寒ブリと共に熟成酒を味わうイベントが開催され、地域間の交流促進と新たな酒の魅力発信を目指しています。
千葉県
喜久屋酒店の海底熟成酒プロジェクト(ワイン、焼酎、日本酒、ウイスキー、ブランデー、醤油)
千葉県千葉市にある喜久屋酒店は、千産千消をテーマに、千葉県勝山沖の水深約30メートルの海底で、地元産の酒を半年間熟成させる取り組みを行っています。海中の安定した温度(15℃〜18℃)と紫外線の遮断、24時間365日の微振動により、風味や旨味が増し、きめ細かくまろやかな味わいが生まれます。このプロジェクトでは、赤・白ワイン、焼酎、日本酒、スパークリングワイン、ウイスキー、ブランデー、醤油など、10種類以上の地元産品を海底熟成させています。
東京都
caskおよび信濃屋 六本木ヒルズ店の海底熟成酒販売(シャンパーニュ・ウイスキー)
東京都世田谷区に本社を置く信濃屋食品は、2024年7月20日より、虎ノ門ヒルズステーションタワーB1Fの新業態「cask」および「信濃屋 六本木ヒルズ店」にて、海底で1年間熟成させたシャンパーニュとウイスキーの販売を開始しました。この取り組みは、株式会社北海道海洋熟成との協力で実現し、余市近海をはじめとする北海道の10か所で熟成が行われました。海底熟成により、シャンパーニュは酸味がまろやかになり、甘みが増し、炭酸がきめ細やかになるとされています。ウイスキーはアルコールの刺激が抑えられ、口当たりが良くなると報告されています。
深川ワイナリー東京 海中熟成ワインプロジェクト(ワイン)
2018年より東京海洋大学と共同で、海中熟成と地上熟成の違いを探るプロジェクトを開始。ワインを一定期間海中で熟成させ、波の揺らぎや安定した温度環境が与える影響を研究しています。また、都市型ワイナリーとして、江東区で屋上ブドウ栽培や醸造体験プログラムも実施。地域密着型の取り組みと革新性が注目されています。
小笠原母島観光協会|海底熟成ラムMother(国産ラム)
東京都小笠原諸島の母島で生産されるラム酒を、母島近海の海底で約1年間熟成させた特別なラムです。海底の安定した温度、波による微細な揺らぎ、そして光の届かない環境で熟成させることで、ラムの味わいがまろやかになり、香りも豊かになるとされています。母島や父島の商店、土産物店、そして一部の内地の酒店などで購入可能です。また、注文を受けてからラムを海底に沈める「ラムオーナー制度(受注販売)」も実施しており、約1年後にシリアル番号付きのボトルが届けられます
神奈川県
小網代湾海底ワイン熟成プロジェクト(ワイン)
神奈川県三浦市の小網代湾で実施されているプロジェクト。海底の砂や波の微細な振動が熟成を促すとされ、特に小網代湾は水温や波の穏やかさが安定した「天然のワインセラー」として適しています。2021年12月には過去最多の約1,700本のワインボトルが沈下され、2022年6月に引き揚げられました。このプロジェクトは、地域活性化や地元漁業者の新たな収入源の創出、新たな特産品づくりなどを目指して発足した地元団体「小網代観光振興活性化検討協議会」が主体となり、京急グループの三崎観光株式会社が支援しています。
新潟県
佐渡海底熟成酒プロジェクト(日本酒)
新潟県佐渡市の佐渡潜水株式会社が主導するこのプロジェクトでは、地元の逸見酒造が製造する日本酒「真稜」を、佐渡島の海底20メートルで半年間熟成させています。海底の安定した温度や微細な振動により、酒の風味がまろやかになり、深みが増すとされています。2024年1月には、海底熟成された日本酒やワインの販売が開始され、佐渡の新たな観光資源として注目を集めています。
直江津港海底熟成酒プロジェクト(日本酒・ワイン)
新潟県上越市の直江津港で、上越建設工業が主導する海底熟成酒プロジェクトです。2023年7月、地元の日本酒やワインを専用コンテナに入れ、直江津港西防波堤先端付近の水深約14メートルの海底に沈め、約5か月間熟成させました。海底熟成により、酒の味わいがまろやかになるとされ、2023年12月には試飲会が開催され、参加者から高い評価を得ました。
富山県
氷見・大宮海中熟成絆酒プロジェクト(日本酒・ワイン)
富山県氷見市と埼玉県さいたま市大宮地区の経済団体が連携し、氷見沖の海中で日本酒やワインを熟成させる取り組みです。2023年12月、両地域の地酒やワイン計632本を氷見沖の水深15メートルと35メートルの海底に沈め、3ヶ月から1年間熟成させました。海中の安定した温度と波の揺れにより、酒の味わいがまろやかになると期待されています。2024年2月には、寒ブリと共に熟成酒を味わうイベントが開催され、地域間の交流促進と新たな酒の魅力発信を目指しています。
福井県
若狭湾海底熟成日本酒プロジェクト(日本酒)
福井県小浜市の漁業者と酒造業者が連携し、若狭湾の海底で日本酒を約3か月間熟成させる取り組みです。海底の安定した温度と波の揺らぎにより、酒の口当たりが良く、まろやかな味わいに仕上がるとされています。2024年7月には商品化され、熟成前の日本酒との飲み比べセットとして販売されました。
小浜湾海底熟成日本酒プロジェクト(日本酒)
小浜市の漁業者や酒造業者らで構成される有志グループが、小浜湾で日本酒を海底熟成させる取り組みです。2024年3月から約3か月間、宇久漁港沖合1.5キロ、水深17メートルの場所で日本酒「純米わかさ」を熟成させました。海底の安定した温度や波の振動により、角が取れたまろやかな味わいに仕上がり、琥珀色に色づく特徴があります。
静岡県
清水港内の海底熟成酒研究(研究)
東海大学海洋学部の後藤慶一教授と鉄多加志准教授が、静岡市清水区のNPO法人「複合力」や三和酒造と連携し、清水港内で日本酒を海底熟成させる研究を行っています。2021年から清水港内の水深約2.5メートルの海底に日本酒を沈め、熟成による成分変化を分析しています。官能評価では、熟成前と比較して旨味や甘味が増し、アルコール感が弱まるとの結果が得られています。この研究は、地域産業の振興や新たな特産品の開発を目指しています。
駿河湾海底熟成ワイン『らぶ・ま~れ』
静岡県伊豆市の駿河湾で実施されている海底熟成ワインプロジェクトです。中伊豆ワイナリーシャトーTSで生産された100%伊豆市産のブドウを使用した赤ワイン「伊豆ヤマ・ソービニオン」を、土肥の水深20メートル、平均水温17度の海底で約4ヶ月間熟成させています。海底の安定した温度と波の揺らぎにより、ワインは短期間でまろやかで複雑な味わいに変化します。引き揚げ後は土肥金山坑道でさらに熟成を重ね、プレミアムワインとして完成します。
西伊豆海底熟成ワイン「VOYAGE」
西伊豆の美しい海の底、紫外線の届かない約15メートルの深さで、厳選したフルボディのワインを半年間熟成させるプロジェクトです。海底の安定した温度と微振動により、ワインはまろやかな口当たりと豊かな香りを持つ極上の味わいに変化します。地元のダイバーや漁協組合の協力を得て、西伊豆の自然資源を活用した取り組みとして注目されています
下田海底セラーワインプロジェクト(ワイン・ウイスキー)
静岡県下田市の河津建設が主導する地域貢献事業で、2017年から開始されました。市内の宿泊施設や飲食店、小売店などから預かったワインやウイスキーを、下田港内の海底で約6ヶ月間熟成させる取り組みです。海底の安定した温度や光の遮断、波の微細な振動により、特に赤ワインはまろやかな味わいに変化するとされています。2024年4月には、過去最多となる約1,100本の酒類が引き揚げられ、市内の各施設で提供されました。
美しき海のワイナリー(受託)
静岡県南伊豆町の中木沖にて、お客様のお好みのお酒をお預かりし、水深約15メートルの海底熟成庫で半年間熟成させるサービスを提供しています。熟成期間は、台風がなく水温の変動が少ない11月から5月の約半年間で、熟成後はオリジナルタグを付け、ギフトボックスに入れてお渡しします。また、ボートに乗船して熟成の様子を見学するオプションや、スキューバダイビングで自らの手でお酒を沈めたり引き上げたりする体験プランも用意されています。
愛知県
伊勢湾竜宮熟成酒「たまてばこ」(日本酒)
愛知県常滑市の井上屋が主導し、澤田酒造の純米酒「白老」を伊勢湾の海底で半年間熟成させた日本酒です。2023年11月に常滑沖の水深7メートルの海底に沈め、2024年5月に引き上げられました。海底熟成により、酸味が穏やかになり、奥行きのある味わいとすっきりとした後味が特徴です。ボトルには海中で付着したフジツボなどが残され、藍染めの桐箱や風呂敷に包まれた特別なパッケージで提供されています。
三重県
英虞湾 海底熟成酒プロジェクト(日本酒)
三重県志摩市の英虞湾で、地元の酒販店「べんのや酒店」と観光会社「伊勢志摩ツーリズム」が共同で実施するプロジェクトです。2022年2月、三重県産の日本酒「半蔵」と「作」を英虞湾の水深20~25メートルの海底に沈め、約1年間熟成させました。海底の安定した温度と波の揺らぎにより、酒の角が取れ、まろやかで穏やかな甘みが長く続く味わいに変化します。2023年2月には引き揚げと試飲会が行われ、4月上旬から数量限定で販売されました。
京都府
海底熟成海囲い酒「龍宮浪漫譚」(日本酒)
京都府京丹後市の美しい海、特に鳴き砂で有名な琴引浜沖の水深約27メートルの海底で、地元の日本酒を約半年間熟成させるプロジェクトです。紫外線がほとんど届かない水深と穏やかな温度変化、そして日本海の波の「ゆらぎ」により、酒はまろやかで深みのある味わいに仕上がります。この取り組みは、地元の酒販店「松栄屋」と網元・民宿を営む「松栄」が共同で企画し、2014年から開始されました。日本最古の浦島伝説が残る丹後の地で、浦島太郎や龍宮城を思い浮かべながら楽しめる希少な海底熟成酒として注目されています。
徳島県
海底ボトルキープ制度(受託)
徳島県鳴門市の「牡蠣の王国」が提供するサービスで、お客様の好きなお酒を預かり、鳴門市の海中で6ヶ月間熟成させる取り組みです。水深約10メートルの海域で、牡蠣の養殖筏にボトルを吊るし、海底の安定した温度や波の揺らぎを利用して、お酒の味わいをまろやかに変化させます。熟成後は、海底熟成前のお酒との飲み比べや、地元の牡蠣とのマリアージュを楽しむことができます。
愛媛県
宇和海熟成酒プロジェクト(日本酒・焼酎・ワイン)
愛媛県宇和島市のNPO法人「元気島プロジェクト」が主導する取り組みで、宇和海の海底でお酒を熟成させることで、地域活性化と新たな特産品の開発を目指しています。海底の安定した温度と波の揺らぎにより、お酒の角が取れ、まろやかな味わいになるとされています。日本酒や焼酎、ワインなど多様な酒類が対象で、熟成期間は約半年間です。また、地元の酒蔵とのコラボレーションも行われており、地域の魅力を発信する取り組みとして注目されています。
福岡県
沖ノ島海中熟成酒プロジェクト(日本酒)
福岡県宗像市の勝屋酒造が、世界遺産「神宿る島」沖ノ島の周辺海域で日本酒を海中熟成させる取り組みです。アルコール度数19度の「原酒本醸造 沖ノ島」を約半年間、沖ノ島近海の海底に沈めて熟成させます。海中の安定した温度と波の揺らぎにより、酒質がまろやかで優しい味わいに変化します。このプロジェクトは、宗像観光協会と連携して行われており、売上の一部は世界遺産および海洋環境の保全活動に使用されています。
大分県
佐伯市の海底熟成酒プロジェクト(日本酒・焼酎・ワイン)
大分県佐伯市鶴見地区の漁業者が中心となり、地元の酒屋や酒造会社と協力して、日本酒や焼酎、ワインを海底で熟成させる取り組みです。海底の安定した温度と波の揺らぎを利用し、酒の風味をまろやかに変化させることを目指しています。このプロジェクトは、地域の新たな特産品の開発と観光資源の創出を目的としており、地元の酒蔵と連携して実施されています。
海を想う株式会社(ワイン)
大分県佐伯市を拠点とする海を想う株式会社は、鶴見湾での海底熟成ワインプロジェクトを展開しています。湾内の水深約20メートルの場所にジョージアワインを沈め、年間を通して安定した温度環境と波の微細な揺らぎを活用して熟成を行っています。
宮崎県
日向海底熟成酒プロジェクト(日本酒)
宮崎県延岡市の森山工業が主導するこのプロジェクトでは、延岡の地酒を日向灘の海底約20メートルに沈め、熟成させる取り組みを行っています。ピュアチタン製のボトルを使用することで、海底での長期保存が可能となり、酒の風味がまろやかに変化することが期待されています。現在は実証実験の段階で、将来的な商品化も視野に入れています。
虚空蔵島 海底熟成酒プロジェクト(焼酎)
宮崎県日南市の「道の駅きたごう」が主導するプロジェクトで、地元の9つの蔵元の代表的な芋焼酎を日南の海底で熟成させています。海底の安定した環境で熟成させることで、焼酎の味わいがまろやかになるとされています。商品名の「虚空蔵島」は、目井津港にある霊域から名付けられ、海上安全や豊漁を祈願する意味が込められています。
鹿児島県
tlass SEA CELLAR(ワイン)
奄美大島の最南端、瀬戸内町の清水海岸沿いに位置する海底熟成ワインセラーです。世界自然遺産に登録された奄美大島の豊かな海洋環境を活用し、約900本のワインを水深約20メートルの海底で熟成させています。海底の安定した温度と波の揺らぎを利用することで、ワインの風味がまろやかに変化します。熟成されたワインは、併設のワインバー「tlass SEA CELLAR BAR Beach Club」で提供され、オーシャンビューを楽しみながら特別な味わいを堪能できます。
沖縄県
山川酒造(泡盛)
海底熟成泡盛のルーツと思われる酒蔵。沖縄では古くから漁師が泡盛を海底熟成されていたという伝説があります。
海外での海中・海底熟成
海底熟成は、国内だけでなく海外でも注目を集める独自の熟成方法として進化を遂げています。ヨーロッパでは、スペインやフランスをはじめとする多くのワイナリーへ取り組みが拡大しています。2010年代に入り、多くのワイナリーや酒造会社がその可能性に着目し、本格的な展開を開始しました。
飲んだ人々からは「まろやかさが増し、角の取れた味わいが楽しめる」「海洋の環境が生むユニークな風味がある」といった好評が寄せられています。一方で、ボトルに付着する海藻や貝殻などが、商品のストーリー性や特別感を高め、ギフト需要も急増しています。これに伴い、海底熟成ワインやスピリッツの市場は年々拡大し、ラグジュアリー市場や高級酒の分野での地位を確立しつつあります。
さらに、サステナビリティや環境保護の観点からも注目されており、地元の自然環境や観光資源を活用した取り組みが各地で増加しています。海底熟成は、単なる酒造りの一手法にとどまらず、地域振興やエコツーリズムと結びついた新たな市場を形成しており、今後も成長が期待されています。
フランス
ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)
2010年にバルト海の沈没船から170年前のシャンパーニュが発見されたことを契機に、2014年から「Cellar in the Sea」プログラムを開始。海底環境での熟成がシャンパーニュの風味に与える影響を研究しており、現在も一部の製品を水深40メートルの海中で熟成させています。50年の長期試験で、毎年引き揚げ熟成期間中の変化について定期的に分析を行い、品質向上を図っています。
ドラピエ(Drappier)
シャンパーニュ地方の名門ワイナリーで、イギリス海峡の水深30~40メートルにシャンパーニュを沈める取り組みを実施。海底の静かな環境と安定した温度が、シャンパーニュの熟成に適しているとされ、試験的に数年間取り組んでいます。海底熟成による味わいの違いを消費者に提供するため、限定リリースも行っています。
ルクレール・ブリアン(Leclerc Briant)
「Abyss(アビス)」という特別なシャンパーニュをブルターニュ沖の水深60メートルで熟成させています。10~12か月間、海中で静かに熟成させることで、海藻や貝殻が付着した独特の外観を持ち、風味も深みを増します。このプロジェクトは環境保護やサステナビリティも意識しており、世界中の高級レストランやワインショップで販売されています。
スペイン
クルーソー・トレジャー(Crusoe Treasure)
スペイン・バスク地方の海底ワイナリーとして、専用の熟成施設を海中に設置。赤ワインや白ワインを数か月から1年以上熟成させています。ワインはまろやかさと複雑さが増し、特別感を演出するために観光客向けの海底見学ツアーも実施。商業的にも成功を収め、海底熟成ワインの先駆者的存在として評価されています。
アティス・ボデガ(Attis Bodega)
スペインのリアス・バイシャス地方に位置し、主にアルバリーニョ種の白ワインを海底で熟成。「Attis Mar」というシリーズ名で販売し、海底環境が生むまろやかな酸味とミネラル感を特徴としています。海底熟成により、ワインのテロワールがさらに引き立つとされ、地元や海外で高い評価を得ています。
クロアチア
エディヴォ・ヴィナ(Edivo Vina)
クロアチア・アドリア海の水深18~25メートルで、古代アンフォラ(壺)を使ったワイン熟成を行っています。ワインは1~2年間海中で熟成され、壺には海藻や貝殻が付着し、美しい外観が特徴です。アンフォラを利用した独特の技術と、海底熟成が生む奥深い味わいで、観光客やワイン愛好家に注目されています。これらのプロジェクトは、それぞれ独自の環境や技術を活かしており、海底熟成市場の多様性を示しています。
スロベニア
マーレ・サント(MARE SANTO)
スロベニアのゴリシュカ・ブルダ地方にある小規模な家族経営のワイナリーが手掛けるスパークリングワインです。この地域は、温暖な地中海性気候と冷涼なアルプスの風が交差する特有の環境で、手摘みで収穫された高品質なブドウが育ちます。収穫されたブドウは、アドリア海の澄んだ海中20メートルの深さで1年間熟成されます。ボトルには海中で付着した貝や石灰藻が自然のアートを描き、各ボトルが唯一無二の存在となっています。
このようにたくさんのプロジェクトが生まれています。お酒は五感で楽しむもの。海の記憶が刻まれたお酒は大切な人との素敵な時間を演出するのでしょうね。
※掲載情報は主にインターネットをもとにしています。そのため、正確性に欠ける場合があるかもしれません。修正や追加情報がございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。皆さまと共に、海底熟成の魅力を広げていけることを楽しみにしています。