あの時美味しかったワインをもう一度飲みたいと思ってもなかなか手に入れられない… 、似たようなワインを探したくてもどう伝えたらいいのかわからずモヤモヤ… ありますよね。
ワインは世界中で生産され、お酒の中でもそのバラエティさは豊富。そして一つ一つに深いストーリーがあります。多少勉強したぐらいではなかなか語れないもの。
ワインに寄り添うためには、ワインを飲んだ時に感じたことやそのワインの背景、知識を引き出しに入れるように、少しずつ貯めていくことが大切だと私は考えています。
この「ワインの引き出し」マガジンは、ソムリエ/WSETの保有のメンバーが、様々なテーマでワインの奥深いストーリーをお伝えします。
あなたも自分だけの引き出しをつくって、充実したワインライフを楽しみましょう!
目次
ワイン用ブドウの品種と特徴
はじめに
ブドウ品種を知ることはワインを知ること。
ワインをつくるブドウの品種数は、諸説ありますが世界で千を超えるとも言われています。それぞれの特徴を全て覚えることは至難の業でしょう。
まずは代表的な品種を覚え、特徴が似たものをカテゴライズしていくとよいのではないかと思います。
今飲んでいるワインは、どのブドウから造られているのかを知るためにはどうしたらよいのでしょうか。
ラベル(エチケット)を見ればわかる、と思う方も多いのでは?
実はラベルに品種が書いていないものがたくさんあるんです。ここがワインの難しさ。ですが、諦めないでください。
ブドウの特徴を知れば、ワインの楽しみが何倍にも広がります。
ブドウ品種を知るためのポイント
旧世界と呼ばれる16世紀以前より造られていたヨーロッパ等では、ラベルには原産地呼称制度(AOP)により規定された原産地呼称名称が書いてあるのみで、ブドウ品種などは書かれていないことが多いのです。AOPはとても優れた制度なのですが、今は掘り下げず、品種を知りたい時は名称を検索することで探ってみましょう。
対して新世界と呼ばれる16世紀以降にワインが造られ始めたヨーロッパ以外の地域では、ラベルにブドウ品種が書かれていることが大半です。
そして、複数のブドウをブレンドして造られるワインや単一品種で造られるワインなど多種多様。品種を知るための一歩として、単一品種ワインを飲んで、その特徴を感じてみてはいかがでしょうか。
飲んだ時にそのワインをどのように感じたのか心に書き留めてみましょう。パワフルなのか、エレガントなのか。ボディは軽いか重いか。どんな時に飲みたいか。白ワインなら香り豊かなアロマティックなのか、控えめなニュートラルなのか。そして思ったことを自分の言葉で結構ですので、引き出しに入れていきましょう。
前置きが長くなりました、有名なワイン用ブドウ品種の一部を紹介します。
◾️黒ブドウ
主に赤ワインを造るために使われるブドウです。「ワインはやっぱり赤だよね」「赤ワインは渋みが苦手」など様々な印象があると思います。
しかし赤ワインにも軽やかなものからどっしりと重いものまで切れ目なく様々なワインが存在します。
カベルネ・ソーヴィニョン|Cabernet Sauvignon
世界的に最も人気のある品種。暖かい産地で生産されることが多く、パワフルで豊富なタンニンが特徴です。フルボディのワインが多く 、ボルドー5大シャトーやオーパスワンなどもカベルネソーヴィニヨン主体で造られています。有名な産地はフランスのボルドー、米カリフォルニア、チリなど。
ピノ・ノワール|Pinot Noir
冷涼な産地で生産されることが多いです。上品な酸を持ち繊細でエレガント。熟成させるととても複雑な風味を持ちます。ロマネコンティやブルゴーニュのグランクリュ(赤)もピノ・ノワールから造られています。有名な産地はフランスのブルゴーニュ、米カリフォルニア、ニュージーランドなどです。
メルロー|Merlot
ふくよかで滑らかなタンニンが特徴のため赤ワイン初心者にもおすすめです。有名な産地はフランスのボルドーでブレンドで使われることも多いですが、近年世界中で生産されています。
シラー|Syrah
スパイシーで官能的なワインを造ります。SUBRINAも100%のシラーから造られています。果実味・タンニン・酸が豊富でバランスが良く、エレガント~パワフルまで様々なスタイルがあります。有名な産地はフランスのローヌ、オーストラリアなどです。
サンジョベーゼ|Sangiovese
イタリアを代表するブドウ。スーパータスカン(トスカーナ)と呼ばれる世界的に有名なワインもサンジョベーゼが主体。酸味が高くタンニンが多いことが特徴。成熟が遅いことから温暖な気候が必要であり、イタリア中央部での栽培が適しています。
上記以外にも、テンプラニーリョ、ネッビオーロ、グルナッシュ、ジンファンデル、マルベックなど、たくさんの品種があります。
◾️白ブドウ
主に白ワインを造るために使われるブドウです。白ワインは冷やしてさっぱりと、なんて方も多いかと思いますが、白ワインにもどっしり存在感のあるものまで切れ目なく様々なワインが存在しますよ。樽を効かせたブルゴーニュなど是非冷やしすぎず、香りの広がりや味わいの厚みを楽しんでみてください。
シャルドネ|Chardonnay
世界中で生産される人気品種。冷涼~温暖まで様々な産地で生産されるため味わいはまさに七変化。フランスのモンラッシェや、シャブリなどもシャルドネから生産されます。ニュートラルな品種であるため、ステンレスタンクでシンプルに~オーク樽でじっくり熟成させるものまでバラエティに最も富んだ品種とも言えます。
ソーヴィニョン・ブラン|Sauvignon Blanc
ハーブやグレープフルーツなどのさわやかな香りをもったアロマティック品種。前菜やハーブなどを使った料理に合わせることが多い。有名な産地はフランスのロワール、ニュージーランドなど。
リースリング|Riesling
ドイツ原産の繊細でエレガントな品種。酸が特徴的。甘口~辛口まで様々なスタイルがある。主な産地は、ドイツ、フランスのアルザス。私は大好きな品種です。
ゲヴュルツトラミネール|Gewurztraminer
ライチのようなアロマが特徴の芳醇なワイン。なにこれ、このワインなら飲める!という方も多いですよ。有名な産地はフランスのアルザス。
シュナン・ブラン|Chenin Blanc
決して華やかな品種ではありませんが、テロワールの特徴を受けやすく様々な味わいを持つ。酸やミネラルが特徴的。私は蜜リンゴの様に熟成したシュナン・ブランが大好きです。フランスのロワールが有名だが世界的に広がっています。
上記以外にもピノ・グリージョ、セミヨン、グリューナー・ヴェルトリーナーなどたくさんの品種があります。
品種の特徴を捉えるための3つの要素
- 1. 外観:色合いや色の濃さ
- 2. 香り:ニュートラルなのかアロマティックなのか/ 特徴香はなにか(フルーツorハーブorスパイス等)
- 3.味わい:アタックは強いか弱いか/酸味/アルコールなど
このように様々な要素から紐解いていくことができるのもワインの愉しさ。品種によって特徴があるものの、産地や生産者の考え方によっては味わいに広がりが出て、はっきりとした特徴や違いがわからなくなることも。えっ、これがあのブドウなの!?というワインもたくさんあります。
簡単にカテゴライズできないこと、次々に訪れる新たな発見・出会い、時間をかけて愉しめることが何よりもワインの魅力ですね。
南アフリカ ステレンボッシュのシラーで造られるSUBRINA
国内初の海底熟成ワインとして2011年に誕生した「SUBRINA」。
果実味が豊富な南アフリカ・シラーの赤ワインを、美しい南伊豆の海底で半年間熟成。味わいはしっかりとボリューム感がありつつも、海底熟成で丸くなり赤ワインが苦手な方からもとても飲みやすく美味しいとよく言われます。
あなたのお気に入りの品種をぜひ見つけてくださいね。
Profile
青樹 英輔 Eisuke Aoki
株式会社コモンセンス(SUBRINA運営) 代表取締役。
10年以上ワインを学び続け、2011年国内初の海底熟成ワインSUBRINAをリリース。ワインに限らずお酒全般をこよなく愛する。これまでの自分のワインの引き出しをみなさんと共有していきます。
J.S.A.認定ソムリエ